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疲労を回復するために、きちんとしたサンドウィッチを食べに行く話

こういう場所で、過去に何回か話してきていることなのですが、僕は自分が学生時代を過ごした10代と20代の初期に、作家の村上春樹さんの作品をずっと愛読していたのです。

村上作品の世界観が好き過ぎて、「新作を読んでいく楽しみは、自分が引退してからの老後の楽しみに取っておこう」と決めていまして、いわゆる、『ねじまき鳥クロニクル』より前の作品までしか読んでいません。繰り返し繰り返し、過去作を何回も読んで、その世界観に浸っております。

失礼な言い方に聞こえたら申し訳ないのですが、「人生の疲労が溜まっていった時に、その度に帰っていく馴染みの温泉宿」みたいな感じで、村上作品の世界観に戻っていくのを楽しみにしています。

僕が村上春樹さんの作品が好きな理由のひとつに、村上作品は「人生における多種多様な疲労と、その疲労からの回復儀式」が事細かに描かれているという点があったりするのです。

このような大雑把なまとめ方をしたら、村上春樹さんのファンに怒られてしまうのですが、村上作品に出てくる主人公の人って、「本当によくわからない、奇想天外な厄介事に巻き込まれる才能」がすごくある方が多いのです。もしくは、自分から奇妙な匂いのする運命に興味を持って、その奥にある「多種多様な厄介事の扉」を開いていってしまうことも多くあったりする。

その厄介事は、ひとつとして、「シンプルな手法で解決すること」なんてないし、ひとつの難事件が終わったと思ったら、今度はまた違う方面で、「次の事件が育ち始める」みたいな、そのような連続性がすごくあるのです。

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