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腹八分目の付き合い

もう、だいぶ昔の話になるのですが、あるテレビ番組に美輪明宏さんが出ていたのです。

前後にどういう流れがあって、美輪さんが以下の発言をされていたのかは忘れてしまったのですが、「人同士の付き合いは、腹六分目ぐらいでちょうど良いのよ」とおっしゃっていたシーンがあったのです。

その「腹六分目の付き合い」のキーワードを聞いた当時、僕は20代でした。

だから、美輪さんが言っていることが正直、全然わからなかった。

「腹六分目の付き合いなんて、そんなものは本当の付き合いではないだろう」

とすら思ってしまった。

でも、年齢が若い時というのは、自分には知識も、経験も、色々な物事に対する洞察力もまったくないことが分かっていたわけだから、「今は理解できないけど、もっと大人になった時に腹六分目の付き合いの感覚がわかるかも知れない。脳内の保管庫に保存しておこう」と考えたのを覚えています。

僕だけではないかも知れませんが、10代とか20代、場合によっては30代に至るまで、いわゆる、仲が良い人との付き合いは「腹八分目」どころか、「腹十二分目」あたりまでいくことがあったりしますよね。

一緒に遊んだあとの夜にまた電話を掛け直して、3時間喋ってしまうとか。

「ここまで心を開いて、色々なことを話せるのは〇〇しかいない」

みたいな、お互いに特別な存在同士であることを認め合い、表の人間関係では話せない愚痴や本音を、その人を前にした時にだけ打ち明け合う。

「多感で、敏感で、万人に対しては素直になれない」ような時に巡り合って、色々なことを話し合える「友達」という存在は本当にありがたいし、改めて、友達とは、「いてくれるだけで支えになってくれる大事な存在」であったような気がしています。

僕自身はまだ、未熟者でもあるから、美輪さんがおっしゃった「腹六分目の付き合い」よりかは、「もうちょっとだけ深い付き合いがしたい」と思っていて、「腹八分目ぐらいの付き合い」はしたいと願ってしまいます。一方で、昔のように、「常に集まって、思っていることをずっと話し合う」みたいな、「腹十二分目の付き合い」をしていくのはやはり難しくなったし、実際に、「そこまではやりたくない」と感じるようにもなってきました。

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