少し怖い話

夏なので僕が体験したちょっとだけ怖い話を聞いて下さい。

結構昔の話になるのですが、自宅から仕事場である事務所まで自転車で通っていたことがあったのです。ただ、自転車のルートが結構車や人の往来が激しい大通りだったのです。なので、事務所への行き返りの際、「今日はこのルートを試してみよう」とか「今日はこっちの裏道を行ってみよう」とか、車や人通りの少ないルートを探すのが半分趣味みたいになっていったのです。

ある日、試行錯誤の末にやっと事務所までの最短の理想の裏道ルートを探し当てて、自分だけの宝物を探し当てた小学生のように誇らしかったのです。別にこんなことは誰にも自慢できなかったけど、「車も全然いないし、少しレトロな街並みになるし、こんなルートを見つけてすごいなぁ」と自画自賛して、事務所まで通っていました。

僕が新しく発見したルートは住宅街の隙間を辿るみたいなところで、緑も多く、とても素晴らしいところでした。

ある日、いつものように上機嫌で事務所に向かって自転車を走らせていると、ちょっとだけ体に違和感を覚えたのです。

体に感じた違和感

なんか知らないけど虚脱感を覚える。

新しいルートを通って事務所についた後も、そのルートを通って自宅に帰った後も、その虚脱感は覚えました。

僕は自分の仕事柄、「特に理由はないけど、体に違和感を覚えること」に対して少し注意を払っています。たとえば、あるお店に入った時に「別に怒る必要もないし、怒るような理由が見つからないんだけど、何か少しだけモヤっとした」とかですね。

その時は、特に仕事やプライベートなどで特に大変なことがなかったのに、妙な虚脱感があったのです。

理由や原因のない虚脱感。

普通、虚脱感というのは色々なことが重なって、「あー、もうどうでもいいや」と思って投げ出しちゃうとか、自暴自棄になる前の感覚であったりするじゃないですか。

「まぁ、何かあったのかな。自分でも気づかないような、ガッカリしたことが」

と思いながら、日々新しく開拓した新ルートを通って事務所に通っていました。

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