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糸井重里さんと対談企画①手紙を書いている。

ほぼ日に遊びに行ってきました。

元々僕にとって糸井さんって雲の上の存在で、「糸井さんにお会いするためにはもっと頑張って、あと10年ぐらいかかるかなぁ」とか思っていたのですが、ひょんなことからほぼ日の役員を先日までされていた篠田真貴子さんとお会いする機会があったり、その他にもほぼ日と仲の良い人達と急速に縁が深くなり、すごく短期間でお会いすることができました。


対談は、自分で言うのもなんですが、すごいエキサイティングなものになりました。

僕と糸井さんって「やっぱり結局、勝つためにはこういうことが必要なんだよ」という、「要は」っていうまとめの話をあんまりしませんでした。


それよりも、「きちんとしたグルグル」という言い方を今考えたのですが、短距離だけではなくて、物事の大切なコンセプトや信念にたどり着くまでには、きちんとした遠回りをしたり、グルグル遊びながら考える必要もある。


そういうことを改めて対談をしながら考えました。


これから毎日掲載される糸井さんとの対談は、基本的にはほぼ日さんで掲載されている文章と当たり前ですが同じになります。

なので、ここでは「後日談」というか、「この対談の時はこう思っていました」とかそういうことをちょろっと載せていきたいと思います。

楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。

全6回、どうぞおたのしみください。

※この記事は「ほぼ日刊イトイ新聞」との連動企画になります。
ほぼ日での掲載ページはこちらです。
https://www.1101.com/shiitake/index.html


糸井重里さんプロフィール


1948年生まれ。コピーライター。ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞(通称・ほぼ日)」主宰。広告、作詞、文筆、ゲーム製作など幅広いジャンルで活躍。毎日11時にさまざまな記事が更新される「ほぼ日」では、糸井さんとさまざまなかたとの対談記事が人気コンテンツのひとつ。著書に『ボールのようなことば。』『海馬』(池谷裕二氏との共著)『黄昏』(南伸坊氏との共著)『知ろうとすること。』(早野龍五氏との共著)などがある。
ほぼ日刊イトイ新聞 https://www.1101.com/


ほぼ日刊イトイ新聞×しいたけ.note 連動企画

「はじめまして、しいたけ.です。」

<もくじ>
1)手紙を書いている。
2)話し方の技術よりも。
3)遠くに見えるピカピカしたもの。
4)校庭の石を拾いたい。
5)コピーを決意した夜。
6)失敗しながら生きていく。


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1)手紙を書いている。

しいたけ.
しいたけ.です。はじめまして。

糸井
こんにちは。こんなかたなんですね。顔を出していらっしゃらないから、どんな人なんだろうと思っていました。よく使っているイラストは男性だけど、実は女性ということだってあるかもしれないし(笑)。

しいたけ.
そうですよね(笑)、今日はよろしくおねがいします。

糸井
こちらこそよろしくおねがいします。

しいたけ.
糸井さんにはずっとお会いしたかったんです。だから、今日はとても嬉しくて。

糸井
そうですか、ありがとうございます。

しいたけ.
だからいろいろ聞きたいことを準備してたんですけど、さきほど糸井さんの「ブイコちゃんが家に来た」という報告のツイートを見て、話したかったことがすべてふっとびました。かわいすぎて。
※この日は糸井さんがTwitterで愛犬のブイコが家に来たことを初めて公開した日でした。

糸井
ぼくもちょっとダメですね。昨日の夕方にブイコが来たんですけど、おとといから眠れなくなって、ずーっと睡眠不足で(笑)。でも大丈夫です。

しいたけ.
よろしくおねがいします。

糸井
ぼく自身はしいたけ.さんの占いを見るようになって一年以上かな。もともと社内の人が「しいたけ占い」を見てワーキャーしていたんです。それで「そんなにおもしろいんだ?」と見たら、ぼくにもおもしろかったんですよ。本やムックも買ってます。

しいたけ.
わぁ、ありがとうございます。

糸井
ただ、おかしいんだけど、本を買っても自分のところしか読まないですね。書くほうとしては、仕事の12分の1しか役立ててもらえない職業というか。

しいたけ.
そこなんですよね。

糸井
だからもし「山羊座と蟹座は同じことを書いてやったぜ、へへ」とかしても気づかれない可能性がありますね。

しいたけ.
はい、もちろんちゃんと書いてますけれども(笑)。中には全部チェックされているかたもいるようなんですが、基本的にはほとんどのかたにとって12分の11が余計なので、常にその葛藤は抱えています。

糸井
それ、大変ですよね。にもかかわらず、しいたけ.さんはずっと毎週タフに続けていて。ぼくにはそのタフな感じもおもしろくて。

しいたけ.
タフ、そうですね(笑)。VOGUE GIRLのかたから最初に「しいたけ占い」のお話をいただいたとき、実はぼくとしては「ぜんぜん知らない人たちに向かって手紙が書けるな」と思ったんです。

糸井
へえー! ほんとそうですね、手紙ですね。

しいたけ.
昔、自分が学生のときとか、もっと手紙を書きたくてしょうがない気分があった気がするんです。だけどいま、手紙ってほとんど書かないじゃないですか。メールや電話のやりとりになって、書く時間をとることすら難しい。ただ、それでもぼくはいまも、手紙を書く時間ほど素敵なものはないと思っているんですね。だから、何とかそれを仕事にできたら嬉しいなと思っていたら、VOGUE GIRLのかたから、ぴったりのお話をいただいたんです。

糸井
手紙って、文字に「手」と入ってるけど、まさに「手仕事」ですよね。相手の人にしか伝わらないかもしれないことを、時間をかけて書いていくという。

しいたけ.
そう、まさしく手仕事で、もちろん用件を伝えるだけなら、メールや電話のほうが速いし便利なんです。けれど実際には手紙の持つ「遠回り性」みたいなものにも、すごく良さがある。
たとえば手紙で「元気ですか? そろそろ夏が終わりますね」とか書きはじめるとき、書くほうはすでに相手と一緒にいる情景をイメージしながら「秋に一緒に釣りに行けたらいいですね」と考えてたりするんです。やっぱり携帯のメールなどでは、その情景までは浮かびにくいというか。

糸井
たしかに手紙だと、そういうことを考えながら書いてますね。

しいたけ.
こういうことを言うのもなんですけど、ぼくはまさに糸井さんの文章にも「手紙性」を感じるんです。糸井さんのことばって、糸井さんがそれこそ障子の前とかで、読む人たちのことを想像しながら時間をかけて書かれている感じがあるというか。

糸井
ああ、なるほど。

しいたけ.
そして、良い意味で、受け手側が聞いても聞かなくても大丈夫というか。
‥‥というのが、ぼくはメッセージ性が強すぎることばがちょっと苦手なんですね。「わたしはこれだけ苦労をして、これだけのことを達成してきたから、みんなも絶対こうしたほうがいい」みたいなことばって、なんだか威圧される感じを受けるんです。聞きたくなくても聞かなきゃいけないような気がしてしまって。
でも、糸井さんのことばは、もっと出入りが自由な印象を受けるんです。心づくしというか。

糸井
そういう性格というか。ぼくもいまの「メッセージ性が強すぎることば」については、まったく同じことを思うので、自分はそういう表現を避けてると思うんです。

しいたけ.
ああー。

糸井
「ことばを届ける」って、ほんとは金魚すくいみたいなものだと思うんですね。力を抜いて、スーッとなでるようにすくわないと、なにかが破けてしまうというか。

しいたけ.
ぼくはよく「ことばが本当に届くってどういうことだろう?」とか考えるんですけど、何かを強く「届けよう!」とか思いすぎるときって、意外と届かないことが多い気がしています。

糸井
ジュンサイって、プルプルごとがジュンサイじゃないですか。ことばも同じで、周りのプルプルまで込みで、そのことばだと思うんです。そういうのじゃないと、結局のところ何も伝わらない。だからぼくは「水ごとすくってメダカを差し出す」みたいなことばかりしてると思うんです。

しいたけ.
はぁー。

糸井
さらに言えば、伝えることのおおもとには、やっぱり「恥ずかしさ」があると思うんですね。「何か言う」って恥ずかしいことで、実際にはいつでも言い足りないことや言い過ぎたことだらけなわけで。「これでぜんぶ言えた」と思っているときは、実はほんとうに全部を言えてるときじゃないですよね。「言えてないんだよな」という気持ちとともに言うことばのほうがほんとうというか。

しいたけ.
はい。そうだと思います。

糸井
そして、しいたけ.さんの文章の書きかたも、ぼくがいま言ったことと符合しますよね。読みながら「誤解されたくないけども、簡単に言い切ってしまうのではなく、繊細なところまで含めてできるだけほんとのことを言いたい」というのが、よく伝わってくるから。しいたけ.さん自身もそういう感覚なんでしょうね。

しいたけ.
はい。そういう思いはすごくありますね。

(つづきます)

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しいたけ.後日談


この第1回の対談では「手紙を書く」というコンセプトについて話しました。

対談の中でも話したように、僕にとってそもそものしいたけ占いって「山奥に住んでいるおじいちゃんの、都会に出た孫娘への手紙」だったのです。おじいちゃんだから、孫が何をしてもかわいい。失敗してもかわいい。挫折をしていても「まぁ、そういうことあるよね」って言いながらかわいい。そういう「めちゃくちゃに緩い占いってできないだろうか」って考えていました。

心を寄せる人からの手紙って、封筒を開封する前から嬉しい。開封する前から故郷の家の梅干しの香りを感じることができる。


糸井さんが言った

ジュンサイって、プルプルごとがジュンサイじゃないですか。
ことばも同じで、周りのプルプルまで込みで、そういうのじゃないと、結局のところ何も伝わらない。

ってその後もずっと「ことばを伝える」というところで僕自身のテーマになりました。ジュンサイは、プルプルごとがジュンサイ。




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