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芸人さんの耳と、怖さの話

過去に一度、テレビのバラエティ番組のレギュラー占い師をやらせて頂いたことがあります。それで、自分がテレビのレギュラーという体験を自分の人生の中でさせてもらって、一番収穫があったことって「芸人さんの怖さを知ること」だったのです。これは多分、テレビを見ているお茶の間ではわからなかったことだから、すごく貴重な体験になりました。

芸人さんって、人を笑わせるのが仕事としてあります。

でも、たとえばいきなり自分にカメラが回って「はい、じゃあこの一時間でなるべく人を笑わせて下さい」って僕を含め、普通の人間が言われたら途方に暮れると思うのです。笑いって、色々な温度があるわけだから。これは音楽なんかにも共通するかも知れないのですけど、多分、その会場とか空気とかで、笑いとか心の引き出し方って全く違うと思うのです。「今日のお客さんは静かめだから、ちょっと回り道をするか」とか、素人にはわからない、プロには色々なテクニックがある。

話を戻して、テレビの世界に関わった時に、生で感じた芸人さんの怖さとは何だったのか。

それは、芸人さんの耳だったのです。これが、恐ろしく怖かったです。笑

変な話になってすみません。ちゃんと説明します。

まず、耳について。耳って、話とか言語とか音だけを聴く器官じゃないのです。これは僕の感覚なのですが、耳は「空気の重力を捉える場所」でもあるのです。たとえば、学生の頃に先生に「あとでちょっと職員室に来て」と言われたら怖いじゃないですか。そして、職員室に入った時に全身を耳にして、その場の空気とか重力を感じ取ろうとする。「怒られる話なのか、良い話なのか」って。それも「その場の重力を捉える」耳の話だと思うのです。

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