今回はどうしても、ある特殊な「仕事論」の話を書いていきたいのです。

最初に、こういう話からさせてください。

普段から仲良くさせていただいている、お師匠兼お友達の精神科医の名越康文先生がいるのですが、名越先生との会話で、「自分の仕事で長生きする秘訣というのは、もしかしたら、100％本命の、自分のやりたいことをやらないことなのかも知れない。それよりも、自分のやりたいことから、ちょっとズレたことをやっていった方が良いんじゃないか」みたいな話を、ずっとしていたことがあったのです。

どういうことなのでしょうか。

これは、名越先生のお話になるのですが、名越先生は昔、大阪でクリニックの院長をやっていて、それで、ひょんなきっかけから、東京に出てきてテレビ出演のお仕事をされることになったそうです。

そして、名越先生の名前を一躍有名にした番組があるのですが、それは、ある種、霊能者や占い師などではない名越先生が、番組に呼ばれたゲストの日常の動作や振る舞い方をVTRで見て、バシバシとその人の内面を当てていくという衝撃的な番組だったのです。

その番組を僕は偶然見ていたことがあって、「え、なんでこの人はこんなに鮮明に人の内面を理論的に当てられるのか」と驚きました。そこで初めて、世の中に「名越康文」という人がいることを知りました。

先生はその番組の出演をきっかけに、これまでの仕事では扱ったことがない、「恋愛相談の依頼」が殺到したそうです。